7/4放送開始のドラマ「Tokyo MER」に登場する「臨床工学技士」についてまとめます。
佐野勇斗さんが演じる「臨床工学技士・徳丸元一」がどんな仕事をしているかについても紹介します。
目次
臨床工学技士とは
「臨床工学技士はメディカルスタッフの一職種であり、現在の医療に不可欠な医療機器のスペシャリストです。 今後益々増大する医療機器の安全確保と有効性維持の担い手としてチーム医療に貢献しています。」
https://www.ja-ces.or.jp/for-students/clinical-engineer/
病院やクリニックといった医療施設で医療機器の点検、操作を行っています。
メジャーな機器でいうと
人工心肺:心臓、肺の代わりになる機械
透析装置:腎臓の代わりになる機械
といった、生命維持に重要な機械の点検操作を行います。
コロナウイルスの流行で一時ニュースにも取り上げられていた
ECMO(エクモ)の管理や準備などもしています。
看護師や放射線技師、臨床検査技師、理学療法士といった他のコメディカルよりは歴史は浅いですが病院やクリニックで大きな役割を担っています。
臨床工学技士の業務
先にも述べましたが臨床工学技士は医療施設での医療機器の点検、操作を行います。
多岐にわたる業務を一部紹介します。
呼吸治療業務
肺の機能が働かなくなり、呼吸が十分にできなくなった患者さんには呼吸を代行するための人工呼吸器という装置が装着されます。その際、臨床工学技士は人工呼吸器が稼働している場所へ行き、安全に装置が使用されているか、また、装置に異常がないかなどを確認します。また人工呼吸器のメンテナンス・管理等も行っています。
https://www.ja-ces.or.jp/for-students/clinical-engineer/business/
病院によっては肺疾患を持つ患者が入院しています。
そういった患者さんは呼吸が困難です。
そのため、人工呼吸器が必要です。
その人工呼吸器が正常に適正に動いているかなど点検しています。
また、患者さんにとって適切な設定で動かすために、医師とディスカッションを行いながら人工呼吸器を設定します。
人工心肺業務
心臓手術の際、心臓や肺に代わる働きをする体外循環装置(人工心肺)を操作・管理します。その装置の周辺には多いときには数十台もの医療機器が同時に使われます。すべての機器の操作や使用前の点検などの仕事を臨床工学技士が受け持ちます。
https://www.ja-ces.or.jp/for-students/clinical-engineer/business/
日本の死因順位第2位となっているのは心疾患です。
そんな心疾患に対して心臓手術を行うこともあります。
心臓手術では心臓の動きを止めて行うことがあります。
その時に使うのが人工心肺です。
人工心肺は心臓と肺の役割を担います。
医師は心臓にメスを入れます。
そこで臨床工学技士がその機械を操作し、心臓が止まっている間の生命維持を行います。
一般的に花形の業務とされています。
血液浄化業務
体内に貯まった老廃物などを排泄あるいは代謝する機能が働かなくなった場合に行う治療で、血液透析療法、血漿交換療法、血液吸着法など様々な血液浄化療法が存在します。臨床工学技士は穿刺や人工透析装置の操作を行います。
https://www.ja-ces.or.jp/for-students/clinical-engineer/business/
日本の透析人口は344,640人(2019年)
この患者さん達の腎臓の代わりとなる透析装置の操作を行っています。
透析を行わなければ命が危ない方々の治療に携わっています。
臨床工学技士といえばこの業務がメジャーです。
医療機器管理業務
医療施設の様々な分野で使用される医療機器を、安全に使用できるようにまた、機器の性能が維持できるように保守・点検を行います。また医療機器の一括管理し、効率的で適切な運用ができるようにしています。
https://www.ja-ces.or.jp/for-students/clinical-engineer/business/
病院やクリニックにはたくさんの医療機器があります。
注射器内の薬液を定量で微量でも正確に患者さんに投与するための機械や患者さんの体調をモニタリングする機械など、数え切れないほどあります。
そういった機器に故障が無いか、正常か点検したりしています。
「臨床工学技士といったらこの業務」
という業務を4つ挙げましたがまだまだあります。
ペースメーカー業務、手術室業務、カテーテル業務、集中治療業務、高気圧酸素業務などです。
現場の広さからも臨床工学技士の需要もあることがわかります。
Tokyo MER 臨床工学技士について
佐野勇斗さんが演じる「臨床工学技士・徳丸元一」はどんな仕事をしているかホームページを見てみました。
TOKYO MER臨床⼯学技⼠・救命士。メカオタクで、機械や車を整備している時間を何よりも楽しみにしている。⼀流の医師と⼀流の医療機器、そして⼀流の技⼠が⼀体となって初めて最⾼の医療体制が完結する、というのが信条。
https://www.tbs.co.jp/TokyoMER_tbs/chart/
またYahoo ニュースには
「メカオタクで最新鋭のERカーの設計にも携わっており、自ら運転して災害現場へと向かうという役」
と紹介されています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/1707bb93e57050206dcc234ea4f516df4bf84c33
より引用
この記事を読んで率直に思ったことは
「車の設計をしたんだ。珍しい。」です。
臨床工学技士は救急車に必要な物を進言することはあっても、設計まではなかなかない事だと思ったからです。
こういうところは「さすがドラマだな」という感じです。
7/4放送 第1話を見て
第1話を見ました。
事故が起き、MERが向かい、鈴木亮平さんが演じる ”喜多見幸太” が事故現場で手術をする。
おもしろい展開でした。
現実ではなかなか無いシチュエーションで楽しめました。
”喜多見幸太” が事故現場で手術をする時、賀来賢人さんが演じる ”音羽 尚” が手術は清潔な場所ですべきというようなセリフがありました。
実際に手術はより清潔・無菌で行われるべきであり、病院ではそのように行っています。
「現実的なセリフだ」
と感心しながら見ていました。
一方で
事故現場に向かうのに臨床工学技士 徳丸元一が”MER”を運転していました。
現実では救急隊が救急車を運転し、事故現場に向かいます。
臨床工学技士は事故現場に向かう事は少なく、運転することはまずないと言っていいです。
ですのでドラマの中ですが、臨床工学技士が運転をして救急隊の一翼として輝いている姿を見て、どこかうれしく感じました。
臨床工学技士が事故現場に行くことはある?
臨床工学技士が事故現場に行くことは稀ですが無いとも言い切れないです。
DMAT( Disaster Medical Assistance Team)という災害派遣医療チームに属している臨床工学技士でしたら可能性はあります。
医師、看護師、業務調整員(医師・看護師以外の医療職及び事務職員)で構成され、大規模災害や多傷病者が発生した事故などの現場に、急性期(おおむね48時間以内)から活動できる機動性を持った、専門的な訓練を受けた医療チームです。
http://www.dmat.jp/dmat/dmat.html
より引用
地震や土砂崩れなどの天災、多傷病者が発生した事故などの現場に向かうのがDMATです。
必ずしも医師、看護師のみから構成されるわけではないのでDMATに属していれば臨床工学技士が災害現場や事故現場に行くことはあり得ます。
少ないですがDMATに属している臨床工学技士もいるので
事故現場に行ったことのある臨床工学技士もいるかもしれません。
まとめ
今回は臨床工学技士がドラマで一役得ているという事もあってこの記事を書きました。
医療界でもマイナーな業種でもある臨床工学技士が少し明るみに出たので嬉しい限りです。
今後、臨床工学技士にスポットがあたる回もあると思っているので楽しみにしています。
もちろん純粋に「TOKYO MER」がおもしろそうなので今後の動向を見ていこうと思います。