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安静時冠血流比の違いについて少し深める【iFR, RFR, dPR,DFR】

今回は冠動脈の虚血評価に使われる安静時冠血流比に関してまとめます。
血流予備量比のFFRではなく、薬剤を使わずに評価する評価法です。


”iFR”や”RFR”,”dPR”など様々な種類が安静時冠血流比にあります。
どれも同じような意味ですが、使用する機器の会社によって呼称が異なります。

目的は同じですが、厳密に言うと計測する位置が少し異なるのでまとめます。

ちなみにNHPR:非充血比 non-hyperaemic pressure ratioといも言います。

・そもそも安静時冠血流比とは

安静時冠血流比は血流予備量比FFRとは異なり、薬剤を用いずに虚血評価をするものです。

心臓の拡張中期には血管抵抗が十分低下することから、冠動脈圧と冠血流量において相関関係(比例のような関係)がみられる。
(血管抵抗が十分低下する期間を”WFP: wave-free period”という)


この特性を生かし、拡張期にスポットを当てて虚血評価をするのが安静時冠血流比です。

また、NHPRは複数の心拍数の平均値から算出しているので
引き抜きながらの記録はしないことが一般的とされているようです。

ポイント

安静時冠血流比
血管拡張薬を使わずに拡張期に見られる圧と量の比例関係を用いて計測するもの

 

・各メーカー別の名前

iFR: instantaneous wave-free ratio フィリップス社製
RFR: restingfull-cycle ratio アボット社製
DFR: diastolic hyperemia-free ratio ボストン社製
dPR: diastolic pressure ratio アシスト社製(Opsens)

主なものはこの4つでしょうか。

・iFR

瞬時血流予備量比とも言われ、一番最初にできたNHPRのようです。

iFRは安静時のWFPで見た”Pd/Pa”です。

・RFR

RFRはアボット社製のNHPRであり、

RFRだけ1心周期中(1回の拍動)における”Pd/Pa”を見ます。

・dPR

dPRは拡張期全体で”Pd/Pa”をみます。

iFRと異なるのは計測対象がWFPではないという点です。

・DFR

DFRは拡張期全体のうち、平均のPaを用いて”Pd/(mean)Pa”をみます。

DFRも拡張期全体でみますが、dPRと異なるのは拡張期のうち、平均のPaを用いて計算するという点です。
なので実際には拡張期全体よりかはやや短い期間での計測のようになります。

・変化球的な表記

時々、NHPRでは変化球的なものがあります。

dPR25-75やdPRmid、iFRmidなど小文字で情報が追加されていることがあります。

こういったのは全拡張期のうち「何%分」や「ちょうど真ん中」、「拡張期の終わりから何msec手前まで」といった条件付けがされることがあります。

拡張期全体だけの指標ではやはり誤差がうまれるのでしょうかね・・・

・図で可視化

iFR、RFR、dPR、DFRをそれぞれ図でまとめます。

やや、busyな図になってしまっていますが、感覚的にわかるかもしれません。

サイト内リンク FFR とは? 少し深い話まで。(fractional flow reserve)

Philips https://www.philips.co.jp/healthcare/product/HC989604186571/verrata-plus-pressure-guide-wire
Abbotte https://www.cardiovascular.abbott/jp/ja/hcp/products/coronary/quantien.html
Opsens https://www.zeonmedical.co.jp/product/circulation/ffr_02/index.html
Boston https://www.bostonscientific.com/jp-JP/medical-specialties/Interventional-cardiology/polaris.html

及川 裕二 (編集)
西日本コメディカルカテーテルミーティング (著, 編集)
伊藤 良明 (著, 編集)

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