石灰化病変に対してのアテレクトミーデバイスは主にロータブレータでした。
しかし、今現在では新しいデバイスとして
「ダイヤモンドバック」
が日本でも使用できるようになりました。
ダイヤモンドバックは製品名としては
「Diamondback 360 Coronary Orbital Atherectomy system」と言います。
Orbital Atherectomy systemの頭文字を取って「OAS」ともいいます。
先生によっては
「ダイヤモンドバック」
「OAS」
「オービタル」
などというので把握しておきましょう!!
今回はロータブレータとの違いを中心に理解しましょう!!
メディキット株式会社 「ダイヤモンドバック 360」
ホームページ:https://www.medikit.co.jp/product/detail/3_49.html
目次
・基本的な構造
専用ガイドワイヤー
ダイヤモンドバックにはロータブレータ同様、専用ガイドワイヤーがあります。
定番通り、硬いワイヤーと柔らかいワイヤーの2種類です。
メモ
・硬いワイヤー
ViperWire Advance@ with Flex Tip
・柔らかいワイヤー
ViperWire Advance
Flexタイプはシャフトが柔軟でダイヤモンドバック本体の追従性が良いです。
また、先端荷重は1.0gfでフロッピー(ソフト)ワイヤーとなっています。
素材はナイチノールです。
ノーマルタイプもフロッピーワイヤーですが、先端荷重が1.4gfとなっています。
こちらの素材はステンレススチールです。
長さはどちらも0.014inch/325cmで、
ワイヤーバイアス(ワイヤーの走行)を見ながらワイヤーを選びます。
ViperWire Advance@ with Flex Tip | ViperWire Advance | |
素材 | ナイチノール | ステンレススチール |
先端荷重 | 1.0gf | 1.4gf |
太さ | 0.014 | |
長さ | 325cm |
回転数
ダイヤモンドバックは8万回転と12万回転の2つの設定のみとなっています。
想像つくかとは思いますが、12万回転の方がしっかり削ることができます。
8万回転でももちろん削れるので、最初の数回は8万回転で削ることが多いです。
8万回転のボタンを長押しすると点滅し、グライドアシストモードになります。
ダイヤモンドバックを病変部まで進める時に使うモードです。
グライドアシストモードはロータブレータで言うところのDynaglide(ダイナ)モードです。
メモ
8万、12万回転の2つの設定が可能
8万のボタン長押しでグライドアシストモード
クラウン crown
クラウンはダイヤモンドコーティングがされており、ここが石灰化に当たることで削ることができます。
クラウンがガイドワイヤーを軸として円周に回転することで石灰化を削ります。
なのでガイドワイヤーに対して垂直方向に削るデバイスとなってます。
一方、ロータブレータはガイドワイヤーと同軸方向、進行方向に削るものです。
バーサイズは1.25mmの1サイズとなっており、ガイディングカテーテルは6Fr以上で使用可能となっています。
ロータブレータでは使用するバーサイズによってはガイディングカテーテルのサイズを変えなければいけません。
6Frでは1.75mmまで、7Frでは2.0mmまで、8Frで2.25mmまで使えます。
ポイント
・同心円状に石灰化を削るデバイス
・バーサイズは1.25mmの1サイズ(6Frカテで使用可)
・OASは引きながらでも削れる
ダイヤモンドバックは進める時に削れますが、引きながらでも削ることができるのが大きな特徴でもあります。
バー自体が小さく、クラウンには側面にもダイヤモンドコーティングが付いているので引きながらでも削ることができます。
ロータブレータは前方への進行方向側のみにダイヤモンドコーティングが付いているので、進める時にしか削れません。(最悪の場合、スタックしてしまいます)
・引きのテンション?押しのテンション?
ダイヤモンドバックを使用する時にはワイヤーバイアスが重要です。
全周性ならまだしも、偏心性ではクラウンがしっかりと石灰化に当たるようにしなければ十分に削れません。
特にカーブ、蛇行部分には注意が必要です。
カーブではワイヤーが大彎側に偏位しやすため、石灰化が小弯側にあると切削が不十分になりやすいです。
そういった時にはOASを引きながらのデバルキングが有効になります。
引きながらで行うことでワイヤーバイアスが小彎側に偏位するので、
有効なデバルキングを期待できます。
ポイント
押しながらでは大彎側を削れる
引きながらでは小彎側を削れる
・ワイヤーバイアスの変え方
上でも挙げたようにダイヤモンドバックを引きながら削るだけでもワイヤーバイアスは変わります。
他にもワイヤーバイアスを変える方法があります。
メモ
・ワイヤーを側枝に入れる
・ガイドエクステンションカテーテルを使う
ワイヤーを側枝に入れるとワイヤーバイアスが変わることは多いですが、
細い血管に入れることになるので穿孔(perforation)に注意が必要です。
また、ガイドエクステンションカテーテルを使用してもバイアスを変えることができます。
ただ、オービタルが通過するサイズを使用しなければいけないうえ、血流が低下するので要注意です。
・1.25mmでどれくらい削ることができるのか
ロータブレータは2.25mmのバーサイズまであります。
一方、オービタルは回転数が8万と12万で選べますが、バーサイズは1.25mmのワンサイズです。
1.25mmで大した内腔とれないんじゃない?
実際に私が思った疑問でもあります。
1.25mmのバーでどれくらい削れるのかな・・・と最初は思いました。
このように、ブレながら削るので1.25mmでも実際はそれ以上の径を削ることができます。
しかし、もちろんですが上限があります。
おおよそ、2mm弱まで削ることができます。
⇩⇩これは添付文書にも記載されたグラフからも分かります⇩⇩
8万回転でも12万回転でも10回程通過できれば2mm弱まで削ることができるというグラフです。
しかし、ダイヤモンドバックは円を描くようにデバルキングするので、偏心性の病変では正常な血管にもバーが当たってしまいます。
10回通過させるとその分たくさん正常な血管へのダメージを来す可能性が増えるので、通過させる回数はほんっっとに注意してください。
無理しないように!!!!
ちなみに、
ロータブレータではディファレンシャルカットといって正常な血管は傷つけないと言われています。
実臨床ではそんなことはなく、ロータブレータでも過剰なデバルキングはパーフォレーションやラプチャーを来す可能性が十分にあります。
お気を付けてください。
メモ
1.25mmのバーで2mm弱まで削れる
IVUSの見え方 最低限ここまで理解しないと始まらない!!