EVTにおいて「OUTBACK reentry カテーテル」というデバイスがあります。
足の治療の時に時折登場する「OUTBACK reentry カテーテル」
たまにしか使わないためいざって時に使い方がわからないことがあります。
ここでざっくりどんなものか理解して、どんなワイヤーやマイクロカテーテルを使うかなどを捉えておきましょう。
Cordis OUTBACK® ELITE Re-Entry Catheter
https://www.cordisjapan.jp/ja_jp/products/cto-solutions/outback.html
文献冊子 使用評価報告(Clinical Update)
・OUTBACK reentry カテーテルとは?
アウトバックリエントリーカテーテルは
血管の偽腔に迷入した場合に真腔(true lumen)へワイヤーを戻したい時に使うものとなっています。
特にCTO(慢性完全閉塞)の治療で使うことがあります。
ワイヤーを閉塞病変に対して、順行性に進めた時に偽腔に迷入してしまう事が多々あります。
完全閉塞部位を抜けたと思っても実は偽腔内を進んでいたなんてことがあります。
そういった時にOUTBACKが有用となります。
ポイント
完全閉塞部位は偽腔ではあるが、
越えたのならそこから真腔に戻ろうというデバイス
もちろん、真腔を抜ける方がベストであることには変わりないですが、
足の血管の治療ということもあり、その辺は大目に見る・・・んですかね。
・使用方法、手順
簡易的な手順を羅列します。
メモ
- CTO病変に0.014inchワイヤーリングを試みる
- 偽腔(サブ)に迷入するも、偽腔内でCTO病変を越える
- 0.035inchワイヤー、マイクロカテーテルを用いて偽腔をやや広げる
- 小径バルーンでサブを拡張する
- OUTBACK を偽腔内を進める
- ブレードの向きを合わせる(マーカーを合わせる)
- ブジ―(突き刺すこと)をする
- ブレード内は0.014inchワイヤーが通る腔があるのでワイヤーを通す
- OUTBACK本体を抜く
このような手順でOUTBACKを使用します。
施設や医師の考え方によって若干の手順使用するデバイスが異なるので確認をしてください。
特に3、4番目はやらない医師もいると思います。
OUTBACKは太さが0.078inchあるので偽腔を広げてから使用する医師もいるのです。
ポイント
使用するカテーテル物品
・0.014inchワイヤー
・0.035inchワイヤー
・小径バルーン
・マイクロカテーテル など(医師によって異なる場合あり)
・ブレードの向き合わせ
やみくもにブレードを出すと血管内ではなく、血管外に出てしまうことがあるので注意が必要です。
透視下でも正確に血管へブジ―できるようにマーカーがOUTBACKカテーテルについてます。
その見方を解説します。
透視装置をRAO、LAOと振って”T”及び”L”マーカーを血管走行に合わせる
”T”マーカーが見えていればを正面から見ていることになります
”L”マーカーが見えていれば水平方向から見えていることになります
そして、”L”マーカーのカギ方向に向かってブレードが出るので
しっかりと血管内方向へ向くようにOUTBACKをローテーション(回転)させます。
ここを間違えると血管外へブレードをブジ―することになり、出血となるので要注意です。
・OUTBACKの抜去
ブレードを正確にブジ―出来たらガイドワイヤーを進めます。
ブレードを収納した後に、ガイドワイヤーを血管内に残したままOUTBACK本体を体外に引き抜きます。
OUTBACK本体を抜くことまでできたら後は
バルーンで血管内膜ごと拡張してステントを留置して手技を進めます。
・対象血管は?
添付文書上では
「本品は、経皮的血管形成術(PTA)が適用できる患者において、慢性完全閉塞病変(CTO)であって、狭窄部へのガイドワイヤーの通過が困難な場合に、内膜下に挿入されたガイドワイヤーの真腔への再疎通を補助し、その通過部を確保することを目的に使用する。対象血管は、大腿膝窩動脈のうち血管内治療が推奨される病変を有するものとする。」
アウトバックリエントリーカテーテル 添付文書 (2017年3月作成のもの)
と明記されている。
メモ
・CTO病変であること
・偽腔に迷入したガイドワイヤーのリエントリー目的であること
・対象血管は大腿膝窩動脈
ということです。
血管径がある程度必要なことから主にSFA領域での使用が多いです。
・デバイス構造
カタログより引用します。
OUTBACK® ELITE カタログ
https://www.cordisjapan.jp/content/dam/cordis/web/documents/brochure/cordis-jp-outback.pdf
主に使用する場所
・ガイドワイヤーポート:0.014inchワイヤーを通す所
・回転ノブ:回転させてブレード(カニューラ)の向きを合わせる所
・ハンドルスライド:スライドさせることでブレードを内膜に突き刺す所
OUTBACKのシャフト部自体は120cmあります。
ハンドル部を含めるとより長くなるので使用するガイドワイヤーの長さに注意してください。
・使用動画
「Cardinal Health」というチャンネルが分かりやすい動画をYou tubeに乗せていたので紹介します。
この動画を一度見ればイメージしやすいかと思います。
Outback Elite Re-Entry Cateter Video FINAL Portuguese BRL 100568335
・まとめ
今回は使用頻度としては多くないデバイス
「OUTBACK reentry カテーテル」
についてまとめました。
EVTのCTO治療の時には使用する事がありますので頭の片隅に入れておいてください。
使用頻度が少ないからこそどんなカテーテル物品を使うかなど、
こっそりメモ帳に書いておきましょう!!