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シースとは?? シースってなに?? 挿入手順は??

カテーテル治療するには欠かせない「シース」

では、そのシースは

「どんな役割?」
「どんなもの?」
「どうやって血管に入れるの?」


と言った内容を紹介します。



シースってなに?

シースはデバイスを血管内に入れるための筒です。

血管と体外を繋ぐ、橋渡しの役割があります。

血管に筒を突き刺すようになるので血管内に物、デバイスの出し入れが可能になります。

シースはサイズによって色が分かれています。

メモ

4Fr:赤色
5Fr:グレー
6Fr:黄緑
7Fr:オレンジ
8Fr:水色



シースの手前(体外の部分)は一方弁になっており、血液が噴き出すことはありません。

シース挿入状態

シースの内径、外径

シースは筒上になっているので内径(内腔径)、外径の知識が必要です。

ポイント

シースのサイズ径 「 〇 Fr 」 は内径を示す



これはとても重要ですので覚えましょう。内径というのがポイント。
デバイスによっては7Frのシースには入るが、6Frのシースには入らないといったことがあります。
デバイス毎の適応サイズを確認してください。

シースは内径表記


メモ

〇 Fr = 直径(mm) × 3.14(π:円周率)
〇 Fr / 3.14(π:円周率)= 直径(mm)



で計算できます。
※実際はメーカー、商品によって若干の誤差があるので注意してください。

きょー
ちなみに、一般的にシースの外径は内径の+2Frが多いです。
商品によっては+1Frのものもあります。

シースの挿入手順、入れ方

1.血管に留置針を刺す

初めに留置針を血管に刺します。
留置針のサイズはシースのセットに入っているワイヤーの太さによって決まります

ゲージ針(G) 内径(mm) 適応ワイヤー(inch)
24 0.47 0.018
22 0.60 0.021
20 0.80 0.025
18 0.95 0.035

24G針の留置針の外筒の内径が0.47mmあるので0.018inchのワイヤーは入るという事になります。
上の表をメモしておくと意外と便利ですよ。

2.ワイヤーを通す

穿刺後に針を抜き、逆血を確認したら付属のワイヤーを通す
※逆血(留置針から血液の逆流すること)

3.ダイレーターとシースを同時に挿入

ワイヤーが抜けないように注意しながら留置針の外筒を血管から抜きます。
その後に、ダイレーターをシース内に挿入した状態でワイヤーに沿って挿入します。

※先端から出ている水色の内筒がダイレーターです。

4.シース挿入完了

ダイレーターとワイヤーを同時に引き抜くと、血管内にシースのみ残留してシースの挿入が終わります。

シース挿入部位、アプローチ部位

血管に対してのシース挿入部位はアプローチ部位とも言います。

メモ

静脈系には主に
・大腿静脈
・内径静脈
・鎖骨下静脈

動脈系には主に
・大腿動脈
・橈骨動脈
・上腕動脈
・遠位橈骨動脈



などを使用します。

・大腿動脈アプローチ

ポイント

メリット
・穿刺が容易
・太いシースが挿入可能
・冠攣縮や閉塞が起きにくい

デメリット
・止血に時間を要する
・出血性合併症を起こしやすい
・カテ後の患者安静時間が長い



〇太いシースを挿入できるのでIABPやPCPS(ECMO)などに使うシースも挿入できる。特にPCPSでは10Frオーバーのシースが必要になってきます。
〇腸骨動脈が蛇行していれば45cmの長いシースを使用したり、コイルシースやメタルシースといった硬いシースを挿入することもあります。
〇穿刺時には大腿骨頭部に穿刺を行う。これは止血時に骨頭が止血台替わりになり、抑えやすくなるため。

・橈骨動脈アプローチ

ポイント

メリット
・止血が容易
・カテ後すぐに歩行可能(低い安静度)
・出血リスクが低い

デメリット
・シースの太さに限界がある
・蛇行血管では困難
・透析患者では使用できない
・動脈閉塞する可能性がある



〇ACSに対する治療時に大腿動脈アプローチよりも出血性合併症や院内死亡率が低いとされている
〇橈骨動脈のすぐ下に橈骨があるので止血が容易に行える
〇7Frまでのデバイスしか使えないので手技に制限がかかる
〇外径が1Frダウンに設計された肉薄シースもある

 

・上腕動脈アプローチ

ポイント

メリット
・透析患者でも可能
・カテ後すぐに歩行可能(低い安静度)
・橈骨動脈が難しい患者でも可能

デメリット
・正中神経が近いため神経障害のリスク
・土台となる骨が近くなく、止血が困難の場合がある




〇上腕動脈を使用する場合は合併症リスクに注意
〇橈骨動脈よりは太いため動脈閉塞は起きにくい

・遠位橈骨動脈アプローチ

ポイント

メリット
・カテ後の安静度が低い
・手首を動かせられる
・出血性リスクが低い

デメリット
・5Frまでのデバイスしか使用できない
・穿刺がやや困難



〇動脈閉塞の軽減に期待できる
〇5Frまでなのでより低侵襲で行える
〇止血が手の甲の部分なので工夫が必要


まとめ

今回はシースについてまとめました。
シースが無ければカテ治療は始まらないといっても過言ではないと思いますのでしっかり理解しておきましょう。

シースを侮るとシースで痛い目に合うかもしれません...



※検索word シース sheath シース挿入 シース入れ方 シースは内径表記

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