今回は脳カテでガイディングシースを総頸動脈に留置するまでの手順をまとめます。
清潔野に入る方々でしたら至極当然な内容かと思いますが、
外周りからしたらどんな手順なのか把握できてないこともあります。
外回りコメディカルからしたらインナーカテを使うので「???」となる方もいると思います。。。
どんな手順で留置しているか確認しましょう。
目次
使うデバイス
メモ
- ガイディングシース
- ガイドワイヤー
- インナーカテーテル
ただ、手技や手順がいくつかあるのでまとめます。
ガイディングシース
ガイディングシースはシースとカテーテル両方の役割があります。
シースとは?? シースってなに?? 挿入手順は??
一般的なシースは血管外と血管内を繋ぐ程度で、血管内に入っている長さは短いです。
一方、「ガイディングシース」はただのシースではなく、「ガイディング」でもあるので治療病変近くまで進めるシースとなります。
脳カテですと大体、総頸動脈までガイディングシースを進めます。
ガイディングシースを総頸動脈まで進められればガイディングカテーテル、マイクロカテーテル、バルーンカテーテルをすぐに内頸動脈、病変へ進めることができるようになります。
あくまでもシースなので「〇Fr」の表記は内径表記です。
※6Frのガイディングシースでしたら「内径:6Fr 外径:約8Fr」になります。
ガイドワイヤー
ガイドワイヤーはインナーカテに入る太さの物が使用されます。
大体、0.035inchのワイヤーを使用することが多いです。
このガイドワイヤーはカテーテルやガイディングシースを内頸動脈に進めるには必ず必要です。
血管の蛇行が強い場合や太い治療デバイスを使用する場合には固いガイドワイヤーを使用することもあります。硬いワイヤーとはハーフスティッフワイヤーやスティッフワイヤーなどです。
スティッフ(stiff:硬い)
硬いワイヤーですとワイヤーの操作性が悪いことや血管を傷つけてしまう事もあるので基本は柔らかいガイドワイヤーを使用します。
しかし、インナーカテが進まないような時には血管損傷を気を付けながらスティッフワイヤーを使用します。
インナーカテ
そもそもインナーカテーテルはご存じですか??
「インナーカテ」や「子カテ」などと言われます。
ポイント
インナーカテーテルとは
メインで使用するカテーテルの中に入れるカテーテルのこと
・ガイディングカテーテル
・血管造影用カテーテル
・マイクロカテーテル
これらがインナーカテーテルとして使用される
ここでのインナーカテはガイドワイヤーを脳への血管へ入れるために用います。
メモ
- インナーカテはガイドワイヤーを脳への血管へ入れるため
インナーカテは先端が脳への血管方向へ向きやすい形となっています。
この特性を生かし、脳へ向かう3本の血管に対して選択的にガイドワイヤーを入れるために使用します。
血管の走行やアプローチ部位(大腿や上腕)によってこの使用するインナーカテが変わります。下にインナーカテの例、使用時の模式図を示します。
ガイディングシース挿入手順
ガイディングシースの挿入手順を簡単にまとめます。
メモ
- インナーカテを用いてガイドワイヤーを目的の血管に入れる
- ガイドワイヤーを入れたまま、インナーカテを進める
- インナーカテに沿ってガイディングシースを進める
実際に手技を行う上では注意することがあるので紹介します。
1.ガイドワイヤーを目的の血管に入れる
JB2やH1、SIMなどのインナーカテを用いてガイドワイヤーを目的の血管に入れます。
大動脈弓部の形状やアプローチ部位などによって難易度が異なります。
ここで大幅に時間がかかることがあります。
JB2を例に下図に示します。
2.インナーカテを進める
ガイドワイヤーが入ったらそのまま総頸動脈にインナーカテを進めます。
インナーカテを進めることで、次に上げるガイディングシースが上げやすくなります。
インナーカテを使わずに、ガイドワイヤーとガイディングシースの組み合わせでガイディングシースをあげるにはガイドワイヤーのバックアップ力が弱いです。
インナーカテがあることにより、ガイディングシースを進めるバックアップ力を補えますので、必ずと言っていいほどインナーカテを使用します。
メモ
- ガイドワイヤー + ガイディングシース ⇒ バックアップが不足
- ガイドワイヤー + インナーカテ + ガイディングシース ⇒ バックアップ向上
術者はインナーカテの種類やサイズを治療部位、挿入する血管によって変えます。
ですので、外回りコメディカルもインナーカテの種類を覚えましょう!
そして、術前カンファレンスなどで情報共有して治療に臨みましょう。
ガイディングシースを進める
インナーカテが総頸動脈まで進んでいれば、後はガイディングシースを進めるだけです。
インナーカテを進めるときにはガイドワイヤーが抜けることに注意しますが、(後ですぐ書きます)
ガイディングシースを進めるときにはインナーカテがガイドワイヤーごと抜けることや太いデバイスですので血管損傷に注意します。
例えば、
術者によって使用するガイディングシースのサイズは異なりますが6Frのシースでしたら外径約2.7mm程度になります。
2.7mmのシースを血管に指して血管内を進めると、刺入部やシース先端が血管壁に当たるときに血管への負荷がかかります。
侵襲度が高いのでガイディングシースを進める際には注意してください。
ワイヤーが抜けないように注意
柔らかいワイヤーだとインナーカテなどを進めた時に抜けてしまう事があります。
理由としては「ガイドワイヤー」で上げたように血管の蛇行が強い場合や太い治療デバイスを使用する場合に、ワイヤーは抜けようと反作用が生じるからです。
ガイドワイヤーが抜けてしまうとまた1からやり直しなので慎重に手技を行います。
この抜けてしまうのはガイディングシースを進める時でも起こり得ます。
ガイディングシースを進めるとインナーカテ+ガイドワイヤーが反作用で抜けようとします。
ガイディングシースの中にインナーカテを入れる
術者の手元の状況です。
ガイディングシースの中にインナーカテが入っています。
まとめ
ガイディングシースを総頚動脈まで進める手順をまとめました。
- インナーカテを用いてガイドワイヤーを目的の血管に入れる
- ガイドワイヤーを入れたまま、インナーカテを進める
- インナーカテに沿ってガイディングシースを進める
ざっくり、この流れを覚えて治療に入り、術者の手技が理解できるかなと思います。
今後、清潔野に入る方でしたら尚更重要となるのでぜひ覚えましょ。
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