心カテ

冠動脈ステントDESとBMSの特徴

PCIにおいて冠動脈ステントは必要不可欠なデバイスです。
というのも、ステントが使用される前までは冠動脈バルーンで狭窄部を拡張するだけでした。

バルーンのみの拡張では慢性期に再狭窄が起きることが40~50%であったため、いい成績とは言えませんでした。
そのうえ、治療後24時間以内に解離や血栓などでAMIが起きてしまっていました。

そこに、冠動脈ステントが開発されました。
そんな治療成績を改善してきたステントについてまとめます。

ニッチな話、少しマニアックな内容ですが、一度確認しましょう。。


一番最後にメモ帳に挟んでおくと便利かもしれない表を載せますね。

BMS(ベアメタルステント)

バルーン拡張のみでは再狭窄率が高く、夜間医師の当直中に冠動脈解離や急性冠閉塞と言った再狭窄を起こすことが少なくなかったようです。

そこにBMS(ベアメタルステント)の臨床適応により、病変の再狭窄率は20~30%まで低下できるようになりました。

とはいえ、冠動脈解離や急性冠閉塞を1%未満まで低下できたが、まだまだ20~30%再狭窄率は改善の余地があった。

再狭窄の原因としてはBMSという異物に対して生体が「血栓を形成する」ことや「新生内膜」という膜をステントに対して覆う様にカバーする生体反応を起こします。

そのため、血管内腔が狭くなることがわかりました。

長期的には新生内膜内にプラークが形成され、そのプラークが破綻することで血栓症を引き起こすことがあった。

血栓を形成することに対してはDAPT(抗血小板薬2剤併用療法)という2種類の抗血小板薬を飲むことで回避したが、慢性期における新生内膜の形成が臨床上、重大な問題でした。

新生内膜の対するステント留置でBMSを留置する時には、高い圧で後拡張を行うことで血管壁にステントをしっかり圧着させて手技的予防をしていたようです。

ポイント

・BMS内に新生内膜ができやすかった
・新生内膜の形成後にプラークができ、破綻することで血栓症を起こすことがあった

現状ではBMSを使用することは無くなりつつあります。

DES(薬剤溶出性ステント)

DES(drug eluting stent)は新生内膜を抑制する薬剤をコーティングしたステントです。

このDESによって再狭窄率は10%以下まで下げられるようになりました。
当初使われていたDESを第1世代と呼び、薬剤は主に「シロリムス」と「パクリタキセル」を使用していました。

それぞれの薬剤の頭文字を用いてSES(sirolimus-ES)PES(paclitaxcel-ES)と区別されていました。


DESの登場により格段に再狭窄率は軽減されたが、長期成績を検討したところ、新たな問題が見られました。

それが「遅発性血栓症(VLST)」です。

新生内膜が生成されるのが遅れるために血栓ができてしまうことや、塗られているポリマーに対するアレルギー反応などが原因として考えられていました。


使用されるポリマー

ポリマーが原因のVLSTを予防するため

  • 生体吸収性ポリマー(ciodegradable)
  • 生体適合性、抗血栓性のある耐久性ポリマー(durable)

この2種類のステントが開発された。

生体吸収性ポリマー使用のDESはステントが早くBMS状態になる方が良いという発想のもと開発されました。

耐久性ポリマー使用のDESは金属が露出するよりも長期的にポリマーに覆われていた方が良いという発想のもと開発されました。


使用する薬剤

PES(パクリタキセル)はSES(シロリムス)よりもやや再狭窄率や血栓症がやや高いデータがあったようです。
そのため、現在日本ではリムス系の薬剤が使用されたDESのみ使用されています。

  • シロリムス (テルモ、BIOTRONIK)
  • エベロリムス (Abbott、Boston)
  • ソタロリムス (Medtoronic)
  • バイオリムス (Biosensors)

などが使用されている。

薬剤が塗られている面

メーカーによってステントに薬剤の塗られ方が異なり、2種類に分けられます。

どんな2種類かというと

  • 血管壁側のみに薬剤が塗布されているパターン
    ⇒abluminal
  • 血管壁側と内腔側両方に塗布されているパターン
    ⇒entire coating

簡単に言うと血管壁側のみかストラット全体かの2種類です。

コンセプトとしては前者は薬剤が血流に流され、ステント留置部位や遠位部の血管内皮を損傷する可能性を考慮しています。

後者はポリマーが生体適合性が良いとされるので血栓ができにくいと判断のもとに血管内腔側にも薬剤を塗布しているステントです。

ポリマーが影響するか、しないかの考え方のもとで分けられます。

薄いストラット厚

ステントが薄い方が再狭窄、血栓が起きにくいと考えられています。

これはステントと血管壁との間に段差が生まれることによる、乱流を懸念しています。




この乱流が起きるところに血栓ができやすいとされています。

そのため、薄いストラットのステント開発がされてきています。


現状、最も薄いストラットの厚さであるステントはBIOTRONICOsiro60or80μmで一番薄いステントとなっている


しかし、薄いステントは拡張力(radial force)が軽減するので注意。

DESまとめ

メーカー努力による開発によってステントの性能が向上し治療成績が改善されてきました。

その結果、

ステントの性能向上の結果、DAPT(抗血小板2剤併用療法)の短縮が検討され、SAPT(抗血小板単剤療法)への早期移行に期待されています。

まとめ

今回はBMSとDESについてまとめました。

今回の内容に関しては、重きを置かなくてもいいかもしれません。実際に臨床で気にする場面というのは少ないと思います。

しかし、DESは各メーカーの努力があり、ステント性能が上がってきていることもあるので興味がある方は深堀していってもいいかもしれませんね。

また、今度ステントの構造についてもまとめます。


最後に、各ステントの薬剤やポリマー、ストラットの厚さについてまとめた表を共有します。
自由にご使用して頂いて構いませんが、正誤性については各自の責任でお願いいたします

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