心カテ

IVUSの見え方

IVUSカテーテルは先端に超音波を発する端子があり、冠動脈内で超音波を利用することで血管断面を描出します。

血管の内側から観察することでプラーク性状や、血管径を計測できます。

血管性状を確認することで治療戦略や手技のサポートが可能になり、治療成績の向上に繋がります。


IVUSを使用するメリットは報告されています。

(文献:Meta-analysis of outcomes after intravascular ultrasound-guided versus angiography-guided drug-eluting stent implantation in 26,503 patients enrolled in three randomized trials and 14 observational studies

この文献には慢性期心筋梗塞、再血行再建、ステント血栓症、MACE、死亡率においての有効性が示されています。

以上からPCIにおいてIVUSは重要な役割を担っていると言えます。

今回はそんな治療成績に大きく関わる、IVUSの見方を確認しましょう。

IVUSでの各病変の見え方

正常血管

正常血管では内膜中膜外膜の3層が観察できる。

内膜と中膜の間にある内弾性板が高輝度で映されるので白く描出される。

その外側の低輝度で映されるのが中膜。

中膜よりも外側に白く高輝度に移されるのが外弾性板で外膜となる。

この外弾性板(external elastic membrane : EEM )は、IVUSで血管径を 計測する際に使用する境界面となっている。

ポイント

内膜、中膜、外膜の3層が観察できる
外弾性板は、IVUSで血管径を 計測する際に使用

線維性プラーク

線維性プラークは線維性組織(fibrous)や線維性脂肪組織(fibrofatty)で形成され、中等度の高輝度、低輝度で描出されます。

IVUS上では線維性プラークは白っぽく均一に映し出されます。

線維性脂肪組織は脂肪組織も含まれるのでやや黒っぽく映し出される。

ポイント

線維性プラークは白く均一に描出される
脂質性と混ざった混合性となっていることも多い

脂質性プラーク

脂質性プラークは脂質性組織(fatty)で形成されており、低エコー輝度で描出される。

脂質性プラークにステント留置やバルーン拡張を行うと脂質組織を覆う被膜が破砕して末梢塞栓が起こる可能性がある。
特に長軸方向に長く存在する場合はリスクが上がるので注意する。

また、血管の分岐部に脂質性プラークがある場合にステントやバルーンを用いると脂質プラークが圧迫されて移動し、側枝を閉塞することもあるので注意が必要です。

これをプラークシフトといいます。

プラークシフト

① 内腔を得るためバルーンやステントをプラークにデリバリーする
② バルーンやステントを拡張する
③ 側枝にプラークが移動し、血流を遮断してしまう

ポイント

低エコー輝度で描出される
プラークが崩れて末梢塞栓を起こすことがある
プラークシフトに注意

石灰化プラーク

石灰化はIVUSでは高輝度に白く描出されます。
高輝度に描出されてその後方は見えず、黒くなります。

これは超音波が石灰化を通過できないためであり、音響陰影(acoustic shadow)と言います。

石灰化の奥が見えないので石灰化の厚さがわからず、血管径を計測することはできなくなります。

ポイント

石灰化は高輝度に白く描出される
石灰化の奥が見えないので血管径を計測できなくなる

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解離

血管壁に亀裂が生じて膜の間に血液が流入していることを解離といいます。
細かく分類するとプラーク内に留まるのみの解離を内膜解離といい、中膜まで及ぶ解離を中膜解離といいます。

一般的には内膜解離や亀裂を”tear”や”エントリー”と言われ、中膜解離のことを解離と言われることが多いです。

解離が起きた時の対処としてはエントリー部に対してステント留置をして、解離腔に血液が流入するのを防ぐことをします。
重症ではない解離には自然治癒することもあるので様子見で終わることもあります。


解離は偏心性の石灰化やステントエッジ(端)に対してバルーン拡張を行った際に起こることが一番多いです。

下図は解離が生じたものですが、この血管のように石灰化を伴った病変には注意が必要です。

解離に対する対応

① 内膜が破れるとtear、エントリーができて血液が流入する
② 外膜との間に血液が流入し、内膜を割いていく
③ ステントで流入を抑制する
④ バルーンを長時間拡張して止血する


②が進行すると冠動脈閉塞を起こすこともあるので何かしらの対応をすることが多いです。
③、④が解離に対する対応の一例です。

ちなみに、④のバルーンの長時間拡張は冠動脈閉塞となりますのでパーフュージョンバルーンを使うのがベターです。

パーフュージョンバルーンを使うと拡張中でも血流を保つことができます。
このバルーンについてはまた今度まとめます。

ポイント

解離は血管閉塞を起こすことがあるので治療する
・ステントでカバー
・バルーンを長時間拡張して止血する
軽度解離では自然治癒に期待する

Attnuatedプラーク

Attenuatedプラークは低エコー輝度で描出される脂質性のプラークです。
石灰化を伴っていないにも関わらず、黒く抜ける音響陰影が特徴です。

Drは「アテネーション」「アテニュエイテッド」などと言います。

これはプラーク内で超音波が乱反射することで音響陰影が起きていると考えられています。
長軸方向に長く存在する時には注意が必要です。

バルーン拡張をしたりステント留置したりするとプラークが崩れて末梢へ飛び、末梢塞栓が起きる可能性があります。


ポイント

石灰化を伴わず、音響陰影となる
長軸方向に長いと末梢塞栓が起きやすくなる

血栓

塊り状の浮遊物や血管内腔に突出していたり、エコーの輝度が周囲のプラークと異なっていたりするのが血栓です。
プラークと見分けが難しい場合にはIVUSで見ながら血管内を生食や造影剤でフラッシュすると識別がしやすくなります。

ちなみに、血栓は急性期にできたものは低エコー輝度、時間経過後では不均一な高エコー輝度になるとされています。


血栓に対して不用意にバルーン拡張をして内腔を得ようとすると血栓を末梢へ流してしまい、末梢塞栓が起きることがあります。
ですので血栓に対しては吸引カテーテルを用いて血栓を回収するのがベターです。

また、血栓が末梢塞栓を起こすのを予防するために末梢保護デバイスを使用することもあります。
網目状になっており、血栓をキャッチしてくれます。
このデバイスはプラークが飛びそうな時にも有用です。

ポイント

・塊り状の浮遊物
・血管内腔に突出
・エコーの輝度が周囲のプラークと異なる

不用意なバルーン拡張は末梢塞栓を起こすことがある

血管リモデリング

血管に狭窄が生じた時には多くの場合、血管リモデリングが見られます。
この血管リモデリングはプラークの形成により、血管そのものが拡張したり、縮小したりすることをいいます。

前者が「ポジティブリモデリング」、後者が「ネガティブリモデリング」と言います。

循環器においては血管以外にも「左室リモデリング」という心室に対するリモデリングもあります。


ここでは「ポジティブリモデリング」と「ネガティブリモデリング」についてまとめます

ポジティブリモデリング

血管は基本的にはProximalが太く、Distalが細くなります。

ですが、プラーク形成に伴って血管径がProximal(手前)よりも病変部が太くなることがあります。
これをポジティブリモデリングといいます。

上図はプラークがあっても血管内腔は保たれている状態。
この状態では血流の維持がまだ保たれています。

プラーク形成が進行すると下図のようになります。

プラークの形状にもよりますが、プラーク表面が破けるラプチャーが起こると血栓を伴ったACSと成りえます。


ポイント

プラーク形成に伴って血管径がProximal(手前)よりも病変部が太くなる

ネガティブリモデリング

ポジティブリモデリングとは対照的に

プラーク形成に伴って血管径がDistal(末梢)よりも病変部が太くなることをネガティブリモデリングといいます。

ネガティブリモデリングで注意しなければならないことがあります。

それはアブレーション時のローターブレータのバー選択です。
石灰化によって狭窄が起きているとローターブレータやダイヤモンドバックといったデバルキングシステムを使うと思います。

しかし、IVUS使用時では血管径が石灰化を伴っているとわからないことがほとんどです。
血管径がわからないまま、サイズの誤ったデバルキングシステムを使用すると血管穿孔を起こし得ます。
削ったはいいものの、思っていたよりも石灰化層が薄く、血管壁まで削ってしまう事もあるので注意です。

OCT、OFDIで石灰化の厚さまでみると安全性は向上します。

ポイント

プラーク形成に伴って血管径がDistal(末梢)よりも病変部が太くなる



ネガティブリモデリング 例

実際のネガティブリモデリングです。

回旋枝に強度狭窄がありました。
IVUSでみた血管径を示します。

病変より末梢側の血管径 3.0mm程度
病変の血管径         2.5mm程度
病変より中枢側の血管径 3.5mm程度

このように、本来なら末梢になるほど血管は細くなりますが、ネガティブリモデリングが起きているときには病変部で血管径が末梢よりも細くなっています。


図の病変では血管径がわかりますが、仮に全周性の石灰化だったとします。
その場合は血管径が予測できず、石灰化が厚いこともあれば薄いこともあります。
今回の病変のように末梢側の血管径が十分あることから、術者は病変部をたくさん切削しなければいけないと考えることもあります。
石灰化が薄いかった場合にローターブレータやダイヤモンドバックを使用すると、切削しすぎて外膜まで切削しまうことがあります。
結果的に穿孔(パーフォレーション)、解離を作ってしまうことがあるので要注意です。

まとめ

まだまだIVUSには様々なことで話せますが今回はIVUSの見え方についてまとめました。

今回まとめた内容を覚えておけばIVUS像についてはほとんど網羅できると思います。

IVUSを熟知していき、治療予後の改善に貢献していきましょう!!



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