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”KUSABI”の使い方大丈夫??意外とわからないことが多い...

KUSABI(クサビ)は「冠動脈カテーテル交換用カテーテル」というものです。
他に「エクスチェンジデバイス」といった名もあります。

一言でいうならマイクロカテーテルやOTWバルーンの抜去などをしたいときに使うデバイスです。


冠動脈に入れているワイヤーが300cmのものなど
とても長いものを使用している時には必要ありません。

200cm無いようなワイヤー(SIONやGaia、Amatiなど様々)を使用しているときに有用です。

医師たちは一見簡単な様子で操作しますが、意外とどのように使っているのか
わからない方もいると思うのでまとめます。

製造販売元:株式会社 カネカメディックス
KUSABIカタログ

・そもそもKUSABIってなに?

KUSABIはバルーンです。

そして、ガイディングカテーテル(GC)の中で拡張させてワイヤーをトラッピング(固定)させる目的があります。

あくまでもGCの中で使うものなので冠動脈内には入れません。
誤って冠動脈内で使用すると損傷させて解離の形成のリスクがあるので注意。

細かいことを言うと、
8気圧かけると約2.75mm
14気圧かけると約3.0mm
に広がるバルーンとなっています。

バルーンサイズは1.5cm
使用しているガイディングカテーテルに合わせて拡張させると良いです。

ポイント

KUSABIはバルーン
GCの中でワイヤーをトラッピングさせるためのデバイス



KUSABIは長さが異なる2種類あります。
1,170mmタイプのLong type
1,070mmタイプ
短いGCを使用しているときや、長いマイクロカテーテルを使用しているときに使い分けます。


・使用手順

とりあえず、箇条書きで使用手順を書きます。
前提としてマイクロカテーテル内にワイヤーが入っている状態で、冠動脈内にあるものとします。
(後で絵にかいてわかりやすくするよっ!!)

  1. GCの先端よりやや手前までマイクロカテーテルを引く
  2. KUSABIをGC先端とマイクロカテーテル先端の間まで進める
  3. KUSABIをGC内で拡張させてワイヤーを固定
  4. ワイヤーが固定されているのを確認してマイクロカテーテルを抜去

このような手順で行えばワイヤーを延長しなくても
マイクロカテーテルやOTWバル―ンなどを抜去することができます。

・ただ引いてもマイクロカテーテルは安全に抜けない

KUSABIを使わなくてもマイクロカテーテルを抜きたいなら

「ただ、引き抜けばいいのでは??」

という声が聞こえなくもないので解説します。


実際の縮尺で解説します。※ただし長さのみで太さは適当
ガイドワイヤー(GW)を190cmのもの
ガイディングカテーテル(GC)を100cmのもの
マイクロカテーテル(MC)を130cmのものとします。(実際にある長さです)
KUSABIは107cmの短い方を例にします

上図で書きましたが、ただ考えなしにマイクロカテーテルを引き抜くと
ガイドワイヤーがどんな動きをしているかが見えなくなってしまいます。

進んでしまっているのか、抜けてきているのか・・・


進んでいるとしたら、ワイヤーによる穿孔が起きる可能性
抜けているとしたら、せっかく苦労して進めたワイヤーを入れ直さなければいけません。

運よく動かなければいいですが、それよりも確実に固定してマイクロカテーテルを抜くをことをKUSABIは可能にします。

ポイント

ガイドワイヤーがマイクロカテーテル内に収まってしまって、見えなくても
しっかり固定できる便利なカテーテルが「KUSABI」

・マイクロカテーテルを入れるときにも使える

一つ上の題では抜くときに焦点を合わせましたが、もちろんマイクロカテーテルを入れる時にも有用です。


入れる時にはKUSABIで固定した後にマイクロカテーテルをGC先端まで進めると
マイクロカテーテルから中のワイヤーが出てきます。


そこまで行けたらKUSABIバルーンをデフレーションして回収すれば
晴れてマイクロカテーテルを冠動脈内に入れることができます。


・使用時の注意

KUSABIの107cmの方はGCよりも基本的に短く、GCからはみ出ることはまずないです。
しかし、117cmの方はGCから端が出る長さとなっています。

ですので、長い方を使用する時は透視下でしっかりとKUSABIバルーンの位置を確認してからトラッピングをするようにしてください。


長いマイクロカテーテルを使用しているときに長い方のKUSABIを使うことがあります。




他にはエアーの混入に注意が必要です。

Yコネクタ、止血弁からKUSABIをワイヤーに乗せずに入れることもあり、
特にガイディングカテーテルから抜去時にエアーが混入しがちとなっています。

ですのでエアーの確認、エアー抜きを忘れずに行ってください。

ポイント

117cmタイプは透視下で位置をしっかりと確認する
エアー抜きをしっかりと行う

・実際の使用するシーン

KUSABIを実際に使う時を挙げます。

メモ

  • マイクロカテーテルを交換する時
  • DLC(ダブルルーメンカテーテル:SASUKEやCrusade)を抜くとき
  • OTWタイプのバルーンを抜くとき

主にこの3つの時に使用します。

さらに細かくシーンを挙げるなら・・・
・マイクロカテーテルを使って高度狭窄にワイヤーを通すとき
・ロータやダイヤモンドバックなどの専用ワイヤーに変える時
・DLCを使って側枝にワイヤーを通す時
・CTO治療時のレトロワイヤーを対側のGC内でトラッピングしたい時
などがあります。


・医師から意外と関心を得られること

KUSABIを使う時には大体の場合、マイクロカテーテルも使います。


””既にワイヤーが入っており、違うワイヤーに変える時は””

1.KUSABIでワイヤーを固定
2.マイクロカテーテルを進める
3.既に入っているワイヤーを抜く
4.新しいワイヤーを入れる

といった手順になります。

ですので、まず最初に「KUSABIを渡す」

その次にマイクロカテーテルを渡すようにするだけでも
医師からは「この子、分かってる・・・」
と思って貰えます。



””まだワイヤーが入っておらずこれからマイクロカテーテルを使いながらワイヤーを進める時は””

「マイクロカテーテルから渡す」

ワイヤーを冠動脈の末梢まで進められた後にKUSABIを渡す。

この2つの事ができると一目置いてくれるかもしれません。
(当たり前と思われるかもしれませんが・・・)

・まとめ

今回は冠動脈治療の上で便利なデバイス「KUSABI」についてまとめました。

結構使うデバイス。だけど、意外と仕組みを知らないデバイス。

一度理解すると医師の手元が想像できるようになります。
または、これからPCIに携わっていく方でしたら覚えておくと吉な内容。

普段の治療でも、CTOといった場面でも登場するデバイスなので一通り理解しましょう!!




これかもみなさんのPCIライフをサポートできる内容を伝えられるように頑張ります。

これくらいは知っておきたいガイディングカテーテルの選択!

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マイクロカテーテルとは(基本編)

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西日本コメディカルカテーテルミーティング (著, 編集)
及川 裕二 (編集)
伊藤 良明 (著, 編集)

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