マイクロカテーテルは複雑病変に対するPCIの際に必要な有用な多岐にわたる用途を持つデバイスです。
以下、マイクロカテ
マイクロカテを用いてガイドワイヤーの操作性の向上、ガイドワイヤーの交換、局所的薬剤の投与、コイルのデリバリー、PCIテクニックを行う時のサポートなど様々な場面で使用する事があります。
特殊なマイクロカテとしてDual Lumen Catheter(DLC)、Tornus(トルナス)などがあります。
今回は一般的なマイクロカテに関しての使用方法、用途を中心にまとめます。
・マイクロカテの基本
そもそもマイクロカテは2種類に分けられます。
保険償還の問題ですが一般名称として
メモ
「冠動脈貫通用カテーテル」
「中心循環系マイクロカテーテル」
に分けられます。
当然の事にはなりますが、メーカによって販売されているマイクロカテは使用目的こそ同じでも、製造方法や構造が異なるので、それぞれの特徴に合わせて使用します。
「弘法、筆を選ばず」とも言いますが、マイクロカテを変えると、止まっていた手技が進むこともあります。
とくにCTO(chronic total occlusion:慢性完全閉塞)病変の治療の際にはマイクロカテが活躍します。
長さが130か135cmのものと、150cmの2つに区分されます。
一般的な治療の時には130か135cmのものを使用しますが、CTOで逆行性アプローチを行う時には150cmをよく使用します。
逆行性アプローチの時では130cmのマイクロカテは短いことがあるためです。
逆行性では母血管→枝→側副血行路→母血管と心臓の壁に沿って回り込むのである程度の長さが必要になるからです。
冠動脈領域では0.014inchのガイドワイヤーを使用する事がほとんどなので先端が1.5Fr~2.0Frの太さの物を使用する事がほとんどです。
2Frで約0.7mmですので冠動脈領域では十分な細さと言えます。
ポイント
- 冠動脈貫通用カテーテル、中心循環系マイクロカテに分けられる
- 製品によって特長があり、使い分けるとよい
- CTOで逆行性アプローチの時には150cmを使う事が多い
- 冠動脈領域では主に2Fr程度のマイクロを使う
・使用用途 操作性,バックアップ強化
マイクロカテは狭窄、分岐部、石灰化、CTOなど多岐にわたって活躍します。
特に複雑病変では尚更必要不可欠となります。
治療目的病変より近位部に強い蛇行や狭窄があるとガイドワイヤー先端ではないところにストレス、テンション、トルクが取られてワイヤー操作が思う様にいかなくなることがあります。
そういった時にマイクロカテを用いることで治療目的病変に対してガイドワイヤー操作をしやすくなります。
マイクロカテの先端から少しだけガイドワイヤーを出した状態で操作すれば、ワイヤーが湾曲しにくく、トルクが伝わりやすいです。
・マイクロカテを用いてワイヤー交換
なぜマイクロカテーテルを用いてワイヤー交換をするのか・・・
テーパードワイヤーや穿通力の高い(硬い)Stiffワイヤーを用いて病変部を通過した後に、そのワイヤーを用いて治療そのものをすることは可能です。
しかし、気付かないうちにワイヤーが進んでしまって冠動脈穿孔を起こすリスクがそれらのワイヤーではより高くなります。
なので柔らかいSoftワイヤーへの交換がほぼ必須と考えます。
ただ、せっかく病変部を通過したのにソフトワイヤーでは再通過できないなんてことはざらにあります。
そういった時にマイクロカテを用いてワイヤー交換を行います。
他にもソフトワイヤーが病変を通過している状態から
- ロータ用ワイヤー(ロータワイヤー ドライブ)
- DCA用ワイヤー(ABYSS DCA Support 300)
- Gland Slam
などに変更する場合にもマイクカテを用います。
上に挙げたワイヤーは操作性、通過性が低いです。そのため、まず初めにソフトワイヤーで病変を通過させた後にこれらのワイヤーを通します。
上手な医師であればこれらの通過性のワイヤーでも、そのまま病変を通過させることもあります。
これを「ベア(bare)で通す」などと言います。
Bare:むき出し、裸のまま、覆われていないなどの意味があります。
・選択的に薬剤投与を可能にする
マイクロカテは中に通しているワイヤーを抜けば、薬剤を流し入れることができます。
PCI中で時折、血管拡張を行いたい時があります。
例えば、”No reflow”や”Slow flow”が起きてしまった時や冠攣縮してしまった時などです。
こういった時には心電図でST上昇が見られたり、胸痛症状が出ることがあります。
なので速やかに症状を軽減するために薬剤を投与します。
ガイディングカテーテルから投与することも可能ですが、そこからでは冠動脈全体に投与することになってしまいます。
あくまでも症状が出ている原因の冠動脈のみに血管を拡張したいので、選択的に薬剤を投与するためにマイクロカテを用います。
拡張薬にはニトプロやシグマートなどがあります。
また、造影剤も選択的に注入して撮影することもあります。
特にCTOへの治療時に行います。
側副血行路のみを選択的に造影したい場合に、マイクロカテを通した状態で撮影をします。
ガイディングカテからではやはり全体が造影されてしまうので側副血行路が分かりにくいことがあります。
なので選択的に造影することで側副血行路の評価がしやすく、造影剤量も減らすことができます。
やってはいけないことがあります。
マイクロカテから注入する場合にシリンジを用いて後端から逆血が可能かどうかを確認します。
もし逆血が確認できなければ、マイクロカテが血管外に迷入している場合があります。
逆血がなく、そのまま注入してしまうと解離や穿孔の原因となります。
重大な合併症となってしまう場合があるので逆血の確認は必須です。
※逆血とはマイクロカテの後端にシリンジを取り付けて陰圧を掛けた時に、冠動脈内の血液がシリンジ内に引けてくることを言います。
点滴ルート確保時やシース挿入時など様々な場面で逆血という言葉は耳にします。
ポイント
選択的に血管拡張薬を投薬する際に使用
選択的に造影する際に使用
注入する前に逆血があるか必ず確認する
・マイクロカテ 一部紹介
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