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造影剤手押しシステム(三連活栓)の構成,組み立ての手順,使用方法

昨今のPCI、カテーテル検査,治療ではオートインジェクタを用いることが多くなっています。
造影をすることも圧を見ることができるので便利です。
しかし、三連活栓を用いた造影システムも未だに活用されています。
手押しシステムを好んで使用する医師も多いので今回はそのセットアップについてまとめます。

手押しシステムでの造影は慣れれば注入圧を自身で調整できるため、造影感覚が分かります。

オートインジェクタ―は設定上限圧までは加圧してしまう上、機械的なので感覚を得ることができず、ウェッジ時や解離腔などに誤って造影してしまってもわからないことが多いので注意が必要です。

及川 裕二 (編集)

・手押しシステム(三連活栓)のセットアップ

三連活栓に対して右から造影用シリンジ、造影剤用ルート、ヘパリン加生理食塩水(または5%ブドウ糖液)接続ルート、圧ラインルートをしっかりと接続します。
一番左にはカテーテルを接続するので開放のままで大丈夫です。
それぞれのルートと三連活栓の接続をしっかりと締めるのは、エアーを引き込んでしまう事があるためです。


次に圧ラインと観血式血圧計用トランスデューサを接続して、三連活栓内や造影用シリンジ内も含めすべてのルート内のエアーを取り除きます。


トランスデューサのエアー抜き方法はトランスデューサのロックは解放し、その他のルートは三連活栓でロックして準備します。
へパ生で満たした造影用シリンジでフラッシュするとトランスデューサーのみにへパ生が流れて、トランスデューサー内のみのエアーを抜くことができます。


トランスデューサーを大気解放にしてゼロ構成(キャリブレーション)を取って準備完了です。
この時、大気解放部分を心臓の高さに合わせるようにします。可能であれば右心房の高さ(中腋窩線)に合わせます。

三連活栓 セットアップ

  1. 三連活栓, 圧ライン, 造影剤用ルート, 生食用ルート, 造影用シリンジを接続
    接続する場所に注意
  2. エアー抜き
    造影剤用ルートは生食でエアー抜きしない
  3. 大気解放にしてゼロ校正を行う
    中腋窩線に合わせる


準備する物品
(ルートや三連活栓、造影用シリンジの種類は各々の施設の物になります)


ローテータ付というのは接続部に回転機構のあるものをいいます。
ローテータがあると三連活栓と造影用シリンジを接続していても、システムがねじれることなくシリンジを360°回転することができます。

なのでストレスを術者のストレスを軽減できます。

三連活栓の先端にも付いています。
これはGCを接続するところになっていますが、接続しながらでもGCを回転、操作することが可能になります。
ローテータがないといちいちシリンジとGCを外して操作しなければいけなくなってしまいます。

接続後の完成図


生食ルートと造影剤ルートは耐圧チューブでなくても可です。
耐圧チューブは血圧への影響を減らすためですので、圧を出すわけではないのでしなやかな柔らかいものでも大丈夫です。
もちろん施設の考えに沿って、耐圧チューブだとしてもOKです。

・使用方法

体内に入っているカテーテルと接続し、造影する前には血液をシリンジ内まで引き、カテーテル内にあるかもしれないエアーを抜きます。
この時に血液を引き込めない場合はカテーテル先端が血管外にある可能性があるため、造影をしてはいけません。
また、造影前には動脈圧波形を確認します。波形が鈍っていたり、出ていない場合は例えば、ウェッジ、キンクなどが考えられます。

※ウェッジ(wedge):細い枝に入って楔入していたり、カテーテル先端が先あたりしている状態
※キンク(kinking):カテーテルが折れてしまっている状態

カテーテルから血液を引くことを逆血といい、逆血をするとカテーテル内のエアー抜きをすることができます。

シリンジで造影剤を注入する場合はシリンジ先端を下向きに下げることで、このエアーの注入を予防することができます。

ポイント

  • 逆血を行う
    エアー抜きとカテ先の迷入の確認になる
  • 造影する時はシリンジ先端を下向きにする
    エアーを送らないようにするため

・三連活栓のコックの向き

三連活栓に用いられている三方活栓のコックの向きは点滴ルートに用いられる三方活栓と異なっています。
なので慣れないうちはしっかりとコックの向き、通になる向きをしっかり確認することが望ましいかと思います。

誤った造影、エアー抜きなどを引き起こしてしまうかもしれません。

下図の状態ではシリンジから一番近い造影剤のルートのみが通になっています。
造影剤を充填することができる状態になっています。
シリンジを押してもコックの構造上、患者さんへ造影されることも、シリンジで陰圧を掛けても生食や血液を吸う事はありません。

生食を吸いたければ造影剤ルートをOFFにします。
造影したければさらに、生食ルートもOFFにする必要があります。



下図にそれぞれの用途を行いたい時のコックの向きの例を示しておきます。

「造影剤を吸う時」の画像では圧ラインのコックも通になっています。
この状態でも造影剤を吸う事が可能です。造影剤ルートよりも左側(患者側)はOFFになっているからです。

慣れればシリンジ操作も三連活栓の構造も何の苦も無く操作することができます。
すぐに慣れることができますので何度が復習すれば大丈夫かと思います。

ここではどんな構造かを予習として理解することのお手伝いができれば幸いと思っております。



造影用シリンジにはいくつか種類があるので載せておきます。
メーカー、製造元が異なるだけで用途は同じです。




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