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冠攣縮の誘発 冠攣縮性狭心症(VSA, CSA)の診断方法

冠攣縮とはプラークや石灰化などによる狭窄はないが血管が痙攣、スパズムが起こることを言います。

一時的に狭窄を生じるため、狭心症と同じ症状が出ます。なので冠攣縮性狭心症と言われます。
原因として、喫煙、飲酒、脂質異常症、ストレスなどがガイドラインで挙げられています。
また、欧州よりも日本人の方が発生率が高いとされており、男性の方が発症率が高いともされています。

疫学的な内容はさまざまなサイトで確認できますので検索してみてください。

ここではカテーテル検査に重きを置いてまとめます。

VSA:Vaso Spastic Angina
CSA:Coronary Spastic Angina

・冠攣縮の心臓カテーテル検査

カテーテル検査では「アセチルコリン」か「エルゴノビン」という薬を冠動脈に直接流して検査します。

どちらも冠動脈の攣縮を誘発させる薬です。
施設、医師の方針によってどちらを使うか分かれます。

アセチルコリンの方がエルゴノビンよりも自然寬解することが多いため、アセチルコリンが好まれます。
※寬解とはここでは誘発させて後、元に戻ることをいいます

薬剤負荷試験で冠動脈が90%以上の狭窄を示した時に確定診断されます。

ポイント

アセチルコリンかエルゴノビンを用いる
アセチルコリンの方が好まれている
90%以上の狭窄が起きた場合に定義付けされている

・アセチルコリン負荷試験

アセチルコリン負荷試験では特に右冠動脈内に投与すると高度な徐脈を起こしやすいため、一時的ペースメーカを使用する事がほとんどです。
バックアップペースで40~50BPMに設定しておきます。もちろん、患者さんの自己脈のベースに合わせて適宜変えます。

薬剤準備はアセチルコリン(アセチルコリン塩化物:オビソード注射用)0.1g/Aを 37℃の生理食塩液499mLに溶解し2mLをシリンジに吸い上げます。
これを生理食塩水18mLに混注すると20μg/mLの濃度になります。

できたこの組成を用いて左冠動脈、右冠動脈に冠注していきます。
左冠動脈には20μg(1mL),50μg(2.5mL),100μg(5mL)
右冠動脈には20μg(1mL),50μg(2.5mL)
で段階的に冠注していきます。
投与スピードとしては20秒かけてゆっくりで行います。

冠注した1分後に冠動脈造影を行って攣縮の有無を確認します。

また、一度投与した場合は5分間隔をあけてから再度アセチルコリンを冠注します。

冠攣縮が見られた後は、十分に攣縮が解除された後にコントロール造影をします。
ニトロールなどの硝酸薬を冠注して最大拡張を得るようにすることもあります。


注意
アセチルコリンはエルゴノビンよりも半減期が短く硝酸薬を必要としないことも多いですが、時々攣縮が長引くことがあります。
その際にも硝酸薬をもちいて攣縮の解除を促します。
また、血圧低下やショック、さらには致死性不整脈を起こすこともあるので除細動できるように準備しておくことが大事です。


ポイント

バックアップペーシングをしておく
組成は20μg/mL
除細動の準備をしておく



・エルゴノビン負荷試験

薬剤準備はエルゴノビン(エルゴメトリンマレイン酸塩:エルゴメトリンF注射液)0.2mg/mLを 生理食塩液99mLに溶解すると2μg/mLの濃度になります。
この20~60μg(10~30mL)を約2~5分間かけて冠注します。
アセチルコリン負荷試験とは異なり、左右の冠動脈で濃度や量の記載はガイドラインにありません。
施設によりけりという現状があります。

注入後1~2分後に冠動脈造影を行って冠攣縮の評価を行います。

エルゴノビンは自然寛解することは少ないため硝酸薬を用いて血管拡張を行います。

ガイドラインには記載ないですが、除細動の準備やバックアップペーシングは必要かもしれません。
施設ごとの医師の方針を確認してください。

ガイドラインに記載が無いのは硝酸薬を使用する前提だからでしょうか。。。

ポイント

組成は2μg/mL
評価後は硝酸薬で拮抗させて血管拡張させる

・手技の流れ

「手技の流れですが当然ながら医師によって異なるので適宜対応してください。」
薬剤はカテーテル検査導入と同時に組成に沿ってミキシングしておきます。

  1. 一時的ペースメーカを導入
    バックアップペースで設定しておく
  2. 右冠動脈へコントロール造影
  3. 左冠動脈へコントロール造影
    右冠動脈での負荷試験の後、時間を置いてから行う
  4. 左冠動脈で負荷試験
  5. 右冠動脈で負荷試験

上記は当院での流れです。
施設によっては負荷試験後に冠動脈の正常化を確認するための造影をする事もあります。
エルゴノビンを使用する場合は一時的ペースメーカを使用しない事もあります。
(ガイドラインでは記載なし)

ポイントとして、カテーテルの入れ替えを行わなくて済む左右共用の造影カテーテルを使用する事もあると思います。

・治療

冠攣縮性狭心症だった場合、PCIはしません

基本的に冠攣縮性狭心症の治療は生活習慣の改善を行っていきます。

ポイント

・禁煙
・血圧管理
・適正体重の管理
・耐糖能障害の是正
・脂質異常症の是正
・過労、精神ストレスの回避
・節酒


薬物療法としては血管平滑筋細胞内 Ca2+ 流入を抑制する Ca 拮抗薬や血管内皮機能の改善のためのACE阻害薬(Ca拮抗目的)、脂質異常症に対するスタチン系薬剤の処方などがあります。
発作時には硝酸薬の舌下投与が有効です。

参考文献
冠攣縮性狭心症の診断と治療に関するガイドライン(2013年改訂版)
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2013_ogawah_h.pdf#page=20
急性冠症候群ガイドライン(2018 年改訂版)
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2018_kimura.pdf#page=82
サイト内リンク
FFR とは? 少し深い話まで。(fractional flow reserve)

西日本コメディカルカテーテルミーティング (著, 編集)
及川 裕二 (編集)

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