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フローリバーサルテクニックとは【Flow Reversal】

フローリバーサルとは内頸動脈の血流方向を逆流にし、静脈へのシャントを一時的に作ってプラークや血栓が流れたとしても脳の末梢へ流れないように保護するテクニックです。
このテクニックは頸動脈ステント留置術(CAS)で用います。

お恥ずかしながら私自身、最近知ったテクニックです。
バルーンやフィルターを用いた方法以外にも末梢保護方法があることを知り、勉強になりました。

今回はCASで行う事のあるフローリバーサルテクニックついてまとめました。

・フローリバーサルテクニックの概略

フローリバーサル(Flow Reversal)を簡単に説明するなら

ポイント

フローリバーサルとは
CAS時に内頸動脈の血流を逆流方向にし、静脈系に短絡させることで脳の末梢保護を行うテクニック

と言えると思います。

バルーン付きガイディングカテと外頸動脈遮断用バルーンを用いて内頸動脈の順行性血流を逆行性に変えます。
エコーで逆行性の確立を確認して狭窄部の治療を行います。

逆行性を確認できたら一般的なCASの治療と同じ流れとなります。

・使用する物品

やや医師によって違いはありますが、一般的に使用するものを挙げます。
CAS自体で使用するものは除き、ここではFlow Reversalを確立させるための物品を挙げます。

メモ

  • バルーン付きガイディングカテ
  • 外頸動脈遮断用バルーン
  • 4~5Frシース
  • 血液濾過フィルター
  • エコー

バルーン付きガイディングカテと外頸動脈遮断用バルーンは逆行性の血流を確立するために必要です。

4~5Frのシースはバルーン付きガイディングカテを介してできる動脈血の逆流を静脈系に灌流させるために必要です。

血液濾過フィルターは逆行性の血流に乗って流れてくるプラークや血栓などを捕捉するために必要です。

エコーは清潔野で扱う必要はありませんが、確実に血流が逆行性になっているのを確認するために使用します。逆行性の血流を確立できていないまま手技を行うと脳の末梢が塞栓してしまう可能性があるのでエコーによる確認はとても重要です。


・手技の流れ

基本的にはバルーンやフィルターのみを用いたCASの手技と同じです。
狭窄部の拡張前に逆行性の確立を挟む点が異なります。

メモ

1. 造影して狭窄部確認
2. バルーン付きガイディングカテ、外頸動脈遮断用バルーンをデリバリー

ここまでは特に変わりません。
ここから、

メモ

3. エコーを用いて頸部の血流を確認
4. ガイディングカテのバルーンを拡張
5. 内頚動脈から外頸動脈への逆行性をエコーで確認


ここまでできればこのシステム、フローリバーサルテクニックが行えるという事になります。
逆行性を確立できない場合にはこのテクニックを用いらずにCASに移行します。

メモ

6. 静脈系に穿刺し、シースを留置
7. 血液濾過フィルター接続


逆行性を確立できるかわからないままシースを先に挿入するのは余計な侵襲となる場合があるので逆行性を確認してから刺す方がベターです。


シースを挿入できたら血液濾過フィルターのエアー抜きを必ず行って、シースの側枝とガイディングカテに接続します。
※血液の流れに沿って接続をします。


ここからは先の手技はステント留置です。
CASについては以前にまとめているので割愛します。

頸動脈ステント留置術(CAS)とは?(病態編)
頸動脈ステント留置術(CAS)とは?(使用カテ編)

・フローリバーサルの概略図(シェーマ)

少しでもイメージしやすくするために概略図を書きました。
頸動脈部の逆流が起きている様子が下図です。
ちなみに、逆流はウィリス動脈輪を介して対側の頸動脈や脳底動脈から流れてきます。



また、エコー上で順行性の流れから逆行性に代わる様子も書きました。
カラーモードで見ると赤色から青色に、ドップラーを用いると波が陰転化します。
順行性時の血圧、血流量と逆行性時の血圧、血流量は異なるので、エコーのゲインやスケール等の調整が必要になる事があります。

エコー上で上図のような逆行性の確立がフローリバーサルでは重要です。

・外頸動脈遮断用バルーンを使わないこともある

使用する物品に
「外頸動脈遮断用バルーン」
を挙げました。


主に使用するバルーンとしては
「MOMA ULTRA モマ ウルトラ」
「GUARDWIRE ガードワイヤー」
などがあります。


しかし、実際には外頸動脈を遮断するためのバルーンを使わずに治療をすることもあります。
内頸動脈の逆流さえ確認できていれば良いということです。


内頸動脈の逆流があればガイディングカテを介して静脈系に流れるか、外頸動脈に流れるかのどちらかになります。
外頸動脈にプラークなどが流れても、脳自体には流れないので大きな問題にはならないという考えで外頸動脈遮断用バルーンを使用しない事もあるそうです。
より、患者さんの事を考えるのであれば外頸動脈遮断用バルーンを使用した方がベターなのは変わらないと思います。


Medtronic ホームページ
MOMA ULTRA, GUARDWIRE 紹介ページ
https://www.medtronic.com/jp-ja/healthcare-professionals/products/cardiovascular/embolic-protection-devices.html

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