肺高血圧をスワンガンツカテーテルで診断する時の指標をメインにまとめます。
時には呼吸器内科がスワンガンツカテーテルを使用して診断することもあります。
もちろん、メインは循環器領域の科で診断することが多いです。
肺に疾患があることや左心系の悪化、血栓による肺塞栓による。。。
などの原因で肺高血圧(PH:pulmonary hypertension)が生じることがあり、
その診断にスワンガンツカテーテルを用いることもあります。
・スワンガンツカテーテルで肺高血圧の診断
スワンガンツカテーテルを用いて診断する時の値が決められています。
肺高血圧(症)は平均PAP(肺動脈圧)が25mmhg以上を示すときに診断されます。
さらに、PCWP(肺動脈楔入圧)が15mmhg以下の時は肺動脈性肺高血圧症(PAH)となります。
広域に言うならPHで済みますが、その原因が肺血管によるものか、左心系によるものかで変わります。
その判断のためにPCWPも計測します。
ポイント
PHの診断は meanPAP:25mmHg以上
(PAHの診断はさらにPCWP15mmHg以下)
PCWPは心不全の評価に用いられており、そのことに気を取られがちですが
違った用途もあることも覚えられると吉です。
肺高血圧症治療ガイドライン(2017 年改訂版)
・肺高血圧症の分類
大まかに分類すると5群に分類されます。
メモ
- 肺動脈性のPH
- 左心系によるPH
- 肺疾患による、または低酸素血症をともなうPH
- 血栓によるPH(CTEPH)
- 詳細不明なPH
ざっくり言うと、この5つに分類されます。
1は突発性や遺伝性、薬などが原因とされています。
2は左心系の収縮、拡張不全や弁疾患によるものです。
3はCOPDや間質性肺炎、肺胞低換気、睡眠呼吸障害などです。
4は深部静脈血栓症などによる血栓が肺にて詰まる物。
5は血液疾患、サルコイドーシスなど多様な疾患による詳細不明なものです。
循環器部門では”2”をメインにした検査としていると思います。
弁疾患や収縮機能の確認を兼ねてます。
・モニターできると良いこと
心電図
肺高血圧になると心電図が変化することがあります。
軽症では変化は乏しいですが、重症になるほど右心負荷による影響が出始めます。
・肺性P波
・右軸偏移
・V1のR/S比>1
・右室ストレイン(V1~3で右下がりのST低下)
・aVLで深いS波
・S1Q3T3(肺塞栓に見られる特徴)
などが見られます。カテーテル診断中にこんなことにも注目すると良きかと。
血流量と血管抵抗
時に肺血流量と肺血管抵抗を算出することがあります。
熱希釈法やFick法で血流量を算出し、その値から肺血管抵抗をもとめます。
重度弁疾患や構造的心疾患(中隔欠損など)がある場合は熱希釈法は誤差を生じやすいので避けることや
Fick法では酸素消費量の値には留意する。
肺血管抵抗[L/min]
=(肺動脈平均圧 − 肺動脈楔入圧)÷ 肺血流量(=心拍出量)dynes・sec・cm-5 (=×80wood)
ここまで検査時に頭の片隅にあるといいかもしれません。
右心カテ 心房心内圧をより詳しく ~a波, v波がわかりますか?~
収縮性心膜炎とは? (Constrictive Pericarditis)カテーテル検査